「解像度」ってなに?

最近、カメラマンの方から実データをもらった際に、解像度が足りていなかったので、

「もっと解像度を高く出力したデータはもらえませんか?」と編集の方経由でお願いすることがありました。

そして再度頂いたデータは、解像度は上がっているのですが、画像自体のサイズが小さくなっていて、
ピクセル数が同じ画像データでした。。。つまり解像度は同じデータが来たわけです。

そんなことめったにないでしょ?と思われる方もいるかもしれませんが、意外とよくあることです。
今回は解像度が何で、どのような解像度がベストなのか、記載させていただきました。

解像度とは?


簡単に表すと、画像のきめ細かさ、ということになります。
じゃあ高解像は綺麗、低解像度は汚い、でOKか?と聞かれると違うのです。
厳密には「高解像度」で「大きいサイズ」の画像は綺麗、「低解像度」で「小さいサイズ」の画像は汚い、になります。

ややこしいですね、もう少し噛み砕いて説明します。
解像度を英語で表すと「dots per inch」、つまり1インチ(2.54cm)あたり入っているドットの数、ということです。
図で表すとこのような形です。

この数値が高いほど、ドットの数も多くなるので高解像度ということになります。
参考までにこの画像で、解像度の違いを確認してみてください。(クリックで拡大できます)

では72dpiのデータは全て小さいデータなのか?と聞かれればそうではありません。
72dpiでも印刷に使用できるくらい高解像度(になる)のデータもあります。
それでは以下の画像で、パネルにある「幅」と「高さ」の数値に注目してください

同じ72dpiでも、右の画像を左の画像と同じサイズで使用する場合は350dpiです。
何言ってるの?と思われるかもしれませんが、解像度はあくまで「密度」の数値です。

例えば、100%果汁のオレンジジュースを100ml飲んだ時の果汁の量は100mlですが、
50%果汁のオレンジジュース(100mlで50mlの果汁)をコップ2杯飲んだ時、50ml+50mlで合計100ml分の果汁を飲んだ、と言えます。

つまり、上の画像は同じ解像度ではありますが、右の画像は「サイズ」が左の画像の5倍程度ありますので、
「密度」は薄いのですが「サイズ」がでかいので、濃縮した場合350dpiとなるのです。

必要な解像度

解像度、という概念を掴んでいただいたところで、
じゃあなぜそんなものが必要なの?ということを説明していきます。
大前提として、解像度を気にするのはこの2つのケースのみです。

  • 印刷で使用する(必要解像度350dpi)
  • web上で使用する(必要解像度72dpi)


印刷時に必要な解像度は、使用する写真のサイズの350dpiのデータです。
なぜ350dpiか、というと、印刷機で一般的に再現できる解像度が350dpiだからです。
(高解像度印刷もありますが、普通の印刷では350dpiが基準です)
つまり350dpi以上のデータを入稿しても、高画質にはなりません。
350dpi以上のデータを入稿しても、印刷会社の人が重たいデータだな、面倒だな、と嫌な顔をされるだけなので、
一番優しい入稿データは印刷に使用するサイズにリサイズして、350dpiで入稿することです。
(今でも雑誌や新聞広告の入稿では原寸350dpiに変換するように求められます)

webでは72dpiです。
基本的には高解像度でアップしても、webで表示されるときは72dpiに変換されます。
つまりweb上で高解像度のものをアップしたければ、サイズを大きくするしかない、ということです。
やはり高解像度の写真データは重く、webブラウザの動作を重くしてしまうので、
ここでも理想は使用するサイズの72dpiとなってきますが、SNS等でアップする際には自動でリサイズされることも多くなってきました。

現場での解像度

使うサイズが決まっていない時にデータをもらう時は、どのような解像度がいいのか、
という疑問が出てくるかもしれません。実際の仕事の流れに沿って解説してみます。

実際の仕事ではまず撮影が終わったら、カメラマンから「アタリ」データをもらいます。
「アタリ」は「仮」、のような意味で、アタリを付ける、見当を付ける、といった意味からきていると思います(たぶん)

アタリデータは大体72dpiでA4-B4くらいの大きさです。(カメラマンによりけりですが)
撮影ではもちろん、1枚だけしか写真を撮らない、なんてことはありえないので、
数百-数千のアタリデータからセレクトし、デザインを進めて、使う画像が決定したらそのファイル名をカメラマンに伝えます。

カメラマンはその番号の写真を「現像(出力)」します。
詳細にはRAWデータという生のデータから色を変換したり、見栄えを整えて、解像度も決めて出力します。
この時、解像度は撮影時のMAXで出力してもらえれば、一番話が早いです。
A4の雑誌であっても、トリミングしたり拡大して使用することもあるので、変にA4ちょうどくらいの解像度でもらってしまうと、改めてデータをお願いすることにもなってしまうためです。

そのため、解像度をもし聞かれたらMAXで!!と伝えて問題ありません。
もし写真集等でかなりの枚数の写真を使用する場合は、恐ろしいファイルサイズになってしまいますので、
拡大使用している画像の番号と、拡大していない画像の番号を分けて伝えます。
そして拡大していない画像はそのサイズを伝えれば大丈夫です。

たまに、アタリデータと全く同じ、jpgからtifになっているだけのデータを納品されることもあります。
tifになったところで、よほど高圧縮された低画質jpgでない限り、ほとんど印刷上変化はありませんので、
tif=実データ、ではありませんのでご注意ください。

少し蛇足ですが、だいたいのカメラマンは、アタリデータから実データになったタイミングで、写真の色合いが少し変わります。
なぜならアタリデータは数百、数千とある写真データを、ほぼ一括したフィルターを通して仮現像のような形で出力したからです。
そのため、納品用の実データでは1枚づつ、もしくは1シーケンスづつ色を整えて出力してくれます。
たまに全くアタリと同じ色で納品される場合もありますが、そういうカメラマンもいますので悪しからず。

解像度が足りない時

ではもし、使うサイズより撮影時のデータが小さかった場合、どうしますか?
正直に答えれば「どうしようもない」なのですが、

「解像度足りてないので撮影し直してきてください!!」

なんて言ったら仕事がなくなりますw
私は「解像度が足りていないのですが、擬似的に解像度を上げて使います、、、」
と言ってadobeのcamera rawの機能を使用します。

camera rawの「強化」

ここからは具体的な「強化」の使い方になります。
解像度のお話はもうほぼ終わっておりますので、強化方法を知りたい方は続けてどうぞ。

「強化」とは、写真の解像度を疑似的に2倍にする、というとんでもない機能です。
AI的なものがピクセルを分割して、補完してくれます。
解像度が足りず、そのまま使うと見栄えが悪い写真にはこの処理をしてから入稿しています。
具体的な使い方はこのようになります。

画像をjpgかtifに変換

camera rawで開けるのはこの形式の画像なので、まずはjpgかtifに変換します。

Bridgeでフォルダを開き、右クリックから「camera raw」を選択

わかりづらいのですが、Bridgeで開いてから、右クリックでcamera rawで開きます。
そのためBridgeをインストールしていない方はインストールしましょう。adobe CCを契約していればバンドルの中に入っています。

右クリックして「強化」を選択

またわかりづらいのですが、camera rawを開くと下部にサムネイルが出てきますので、サムネイルを右クリックしてください。
パネルの中に「強化」とあるので、それを選択しましょう。
そうすると以下のパネルが出てきますので、「スーパー解像度」にチェックを入れて「強化」をクリックします。

強化されたデータを「開く」

強化が完了すると、同じような画像のサムネイルが下部に並ぶはずです。
ここもわかりづらいのですが、上部に出ているファイル名に「強化」と入っているデータが強化データになりますので、
こちらを選択して右下の「開く」を選択します。(普通、右側の画像が強化データですので、右側のデータを開くと覚えても大丈夫です)

Photoshopで開かれたファイルを保存する

あとは自動でphotoshopにて画像が開かれますので、それを保存してください。
解像度を見ると元の2倍になっているはずです。
ちなみに、「.dng」という拡張子のデータも生成されていますが、これはRAWデータなので削除していただいて大丈夫です。

以上が強化のやりかたになります。

強化の効果

最後に、強化をするとどのくらい誤魔化せるのか、ということですが、
この画像を見てみてください。
350dpiの画像を一度175dpiに落としてから、強化で350dpiに戻した画像です。

アイキャッチの白い部分を見るとわかりやすいのですが、
ピクセルっぽさがなくなってシャープに出ています。
このくらい拡大で見ると、全然問題なさそうですね。

これは上の画像をもう少し引いてみたところです。
まつげあたりがわかりやすいのですが、175dpiよりも強化した方がシャープです。
ただ、色も見てみてください。
真ん中の元々の350dpiに比べて、少し黄色が強く、赤みを弱くなってしまいました。
色だけで言うと175dpiの方が元の画像と同じです。

このように、元々350dpiで撮影されたものが一番美しいので、
どうしても印刷時に解像度が足りない、ピクセルが出てしまって見栄えが悪い、という時にだけ使うといいです。

以上、解像度についての記事でした。
どうもありがとうございました。

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