【検証】AIでデザイナーは即死するのか? 話題の『Nano Banana Pro』をガチで触って見えた「2030年の生存戦略」

デザイナーとAI

登場人物

👤 僕(アラフォーデザイナー)
デザイナー歴15年。マイクロ法人を経営するそこそこのおっさん。新しい技術にはすぐビビるが、事業拡大のプレッシャーで胃が痛い日々。

🤖 ジェミニ君(AIアシスタント)
僕がよく使うAI。生意気キャラに設定されているため、上から目線で理屈をこねる。でもたまに核心を突く相棒。

昨日は絶望、今日は…?

僕: ……(深いため息)。

ジェミニ君: 珍しく暗いね。どうしたの? また「AIが凄すぎて仕事がなくなる」って落ち込んでるの?

僕: いや、逆なんだよ。昨日リリースされたGoogleの『Nano Banana Pro』あるだろ? あれを触ってて「うわ、これあと1〜2年でデザイナー全滅じゃん…」って震えてたんだけど。

ジェミニ君: ああ、あの「思考モード」搭載の最新モデルね。ついに日本語の文字入れもできるようになったし、昨日は顔面蒼白だったもんね。

僕: でもね、今日一日かけてガッツリ「実際の仕事フロー」でテストしてみたんだ。そうしたら、逆にちょっと安心したというか。「あ、これまだ全然、プロの代わりにはなれないわ」って気づいちゃって。

ジェミニ君: ほう? 昨日はあんなにビビってたのに、急に強気だね。何が「使えない」と思ったの?


Chapter 1:綺麗だけど「仕事」にはならないデータの壁

僕: 絵はすごいんだよ。本当に綺麗。でもね、「デザインデータ」としては致命的に機能しないんだ。

ジェミニ君: 具体的には?

僕: 最大の問題は、全部が「絵(ラスター画像)」だってこと。例えば「文字が入る」って騒がれてるけど、あれって結局「文字の形をした絵」が描かれてるだけなんだよね。

ジェミニ君: まあ、そうだね。アウトライン化された画像データだから、後から「フォントウェイトを太くして」とか言われても打ち替えられない。

僕: そう! Adobeなんかが「ベクター生成」も頑張ってるけど、あれも結局、**「画像で作ったものを無理やりオートトレース(線をなぞる処理)してるだけ」**に見えるんだ。パスが汚すぎて、プロの現場じゃとても編集に耐えられないよ。

ジェミニ君: 鋭いね。バレた? 実は今の技術だと「最初から美しい計算式(ベクター)」で描いてるわけじゃない。だからアンカーポイントが無駄に多かったりする。

僕: でしょ? 「著作権クリア」「編集可能なパス」「フォントの打ち替え可能」……この3つが揃って出力されるようになるには、まだ時間がかかりそうだよ。

💡 プロが感じた「Nano Banana Pro」3つの限界

どんなに高画質でも、商用ワークフローに乗せるには以下の壁があります。

  • 「編集不可」の壁: テキストは画像として定着しており、修正には再生成(=別案作成)が必要。
  • 「汚いパス」の壁: ベクター変換しても、修正困難なスパゲッティコードのようなパスになる。
  • 「著作権」の壁: クライアントに納品する際、類似性のリスクを完全に払拭できない。

結論: 今はまだ「すごい素材集」であり、「デザイナー」ではない。

Chapter 2:2030年、ジュニアデザイナーの受難

ジェミニ君: ふーん。じゃあ、あと数年は安泰ってことでニヤニヤしてるわけ? でもさ、進化のスピードを甘く見ないほうがいいよ。

僕: いや、楽観はしてないよ。むしろ怖い予測もしてる。僕の予想だと、2026〜2027年頃には上記の壁は突破される。そして、2030年頃には「ジュニアデザイナー」っていう職種がかなり厳しくなると思う。

ジェミニ君: おお、急に具体的な数字。その根拠は?

僕: ジュニアの仕事って、先輩のラフを清書したり、バリエーションを作ったりする「オペレーション」がメインでしょ? そこは間違いなくAIが先に奪いにくる領域だから。

ジェミニ君: 確かに。「指示通りに手を動かす」のは僕らAIの得意分野だからね。

僕: そうなると、新人が「手を動かしながらデザインを学ぶ場」が消えちゃう。2035年には、今のような形のデザイナーはいなくなってる気がするんだ。生き残れるのは「ディレクション(判断)」ができる人だけになってるかも。

⚠️ デザイナーの未来予想図(個人的予測)

  • 〜2027年: AIはまだ「素材生成ツール」。人間の手による修正・合成が必須。
  • 2030年頃: オペレーション業務(切り抜き、配置、リサイズ)が完全自動化。「手しか動かせない新人」の席が消滅。
  • 2035年頃: デザイナーという職種が再定義され、AIを統括する「クリエイティブ・ディレクター」のみが生き残る。

Chapter 3:僕たちが生き残るための「スキャンパー法」

僕: あと、もう一つ安心したのが「アイデア」の部分かな。「カフェのロゴ作って」って言っても、AIは過去のデータの平均値を出してくるだけで、「うわ!その発想はなかった!」みたいなジャンプはしてくれない。

ジェミニ君: 痛いところ突くねぇ……。僕らは「0から1」を生むのは苦手だからさ。無関係なものを結びつける「編集力」みたいなのは、まだ人間に負けるよ。

僕: だからこれからは、「スキャンパー法(SCAMPER)でアイデア出して」みたいな形で正解だと思うんだ。いちいち人間が悩み抜くより、フレームワークごとAIに渡したほうが早い。

ジェミニ君: お、気づいた? そう、僕らに「いい感じにして」なんて曖昧な指示は無意味。でも「思考の枠組み」を指定してくれれば、君の脳みそを拡張できるよ。

📝 そもそも「スキャンパー法」とは?

アイデアを強制的に広げるための7つの質問リストのこと。
Substitute(代用)、Combine(結合)、Adapt(適応)、Modify(修正)、Put to other uses(転用)、Eliminate(除去)、Reverse(逆転/再構成)の頭文字。これをAIへの指示に組み込みます。

【実演】「抹茶専門カフェ」のロゴで実験してみた

実際に架空の「抹茶専門カフェ」のロゴ制作を想定して、指示の出し方による違いを検証してみました。

❌ ダメな指示(丸投げ)

僕: 「静かな雰囲気の『抹茶専門カフェ』のロゴアイデアを出して」

🤖 AIの回答:
「茶筅(ちゃせん)と抹茶椀のイラストに、筆文字で店名を添える。」
(※ザ・定番。ありきたりすぎて面白みゼロ……)

⭕️ 良い指示(フレームワーク指定)

僕: 「『抹茶専門カフェ』のロゴを、スキャンパー法を用いて、視点の異なるアイデアを5つ出して」

🤖 AIの回答:

  • Substitute(代用): 器ではなく「抹茶の粉末」そのものを幾何学的なドット絵として表現し、デジタル感を出す。
  • Combine(結合): 和の「茶筅」と洋の「マティーニグラス」を結合させ、モダンな抹茶カクテルバー風にする。
  • Modify(拡大): 抹茶の「緑色」を極端に強調し、文字もマークもすべて緑の濃淡(グラデーション)だけで構成する。
  • Reverse(逆転): 抹茶=和風という常識を逆転させ、サイバーパンクな「ネオン管」スタイルでロゴを作る。
  • Eliminate(除去): 装飾をすべて削ぎ落とし、抹茶を点てた時の「泡の丸み」だけをシンプルな円で表現する。

僕: ……ね? 「マティーニグラスと結合」とか、自分じゃ絶対に出てこない発想がいきなり出てくる。

ジェミニ君: これが僕らの正しい使い方。「君が考える」んじゃなくて、「君は選び、判断する」のがこれからのデザイナーの仕事ってわけ。


おわりに

ジェミニ君: 言うねえ! でもまあ、今のところは「相棒」として上手く使ってよ。2035年に君が失業しないように、僕も手伝ってあげるからさ。

僕: お手柔らかに頼むよ……。

この記事のポイント
最新の『Nano Banana Pro』は確かに革命的ですが、「編集可能性」というプロの現場の最重要課題はまだクリアしていません。
しかし、そのタイムラグはわずか数年。今のうちに「手を動かす」ことから「思考を動かす(フレームワークを使う)」ことへシフトチェンジする準備が必要かもしれません。

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