今回はInDesignの実践解説をしたいと思います。
原稿がこちらで、仕上がりがこのような形になっています。
InDesignは教わると色々な機能がありすぎて、
結局何をどうすればよいの?となりやすいソフトだと思います。
やはりエディトリアル専用ソフトなので、「文字組み」や「大量の画像」、「ページ数が多いもの」を扱うデザインでは、
Illustratorの比にならないくらい便利です。
難しい使い方は置いておいて、今回は基本的な使用感を見てもらえればと思います。
初心者用にあえて簡単に作っている、というわけではなく、
今回くらいのページであればこのまま現場で使っている手順になります。
2-4ページ程度であればInDesignの基礎中の基礎のような要素だけで充分だと思います。
文字量が多く、2P以上あるページ物であれば、ぜひInDesignを使ってみてください。
とても軽く、作業がしやすいと思います。
今回の作業をyoutubeにもアップしているので、
動画でもよければ見てみてください。
それでは始めて行きましょう!
動画でも作成の手順を説明しているので、
文字よりも動画の方がいい!という方はこちらから見てみてください。
まずは原稿を確認します。
今回の原稿はシンプルにタイトル、リード、インタビュー本文、写真3点とします。
こちらの画像が原稿のイメージになります。
InDesignを開き、新規ドキュメントを作成します。
今回はA4の見開き(合わせてA3サイズになります)で作成します。
綴じ方を「A」というアイコンの右開きにし、ページ数を2にして、マージン段組という下部のボタンを押してください。
次の画面でマージンの設定がでます。
ここは全て15mmにします。
ページパネルのオプション(右上の三本線)から「ドキュメントページの移動を許可」を選択し、
現在片ページずつになっているページネーションを見開きに変更します。
これで下準備は完了です。
文字量4000字で2ページです、と言われて、じゃあ文字は何級の何歯送りで、何段組を何行だな、
と計算できるデザイナーは若い方には余りいないと思います(やっているデザイナーさんがいたら申し訳ありません)
正直私は計算式も忘れてしまっているのですが、計算する前に文字を流してしまえばよいのです。
流した上で、文字サイズを変えて段組みも変えて、一番収まりがよいものを探すのが効率的だと思います。
(現代のPCスペックならそれが可能ですが、昔は計算した方が早いくらいPCが固まる、そもそもアナログで組版していた、という歴史があります)
参考書では本文は「フレームグリッド」を使う、と記載されていることが多いと思います。
けれどこれは組版知識がないと使いづらいため、テキストフレームで大丈夫です。
Illustratorのテキストボックスと同じようなものです。
テキストフレームはパネルの「T」のアイコンをクリックして、適当な場所でドラッグすればフレームが出来上がります。そこにコピペでテキストを入れましょう。フォントは今回はゴシックにしました。
ものすごく無難なデザインではありますが、昔からよく使用されているのがモリサワの
中ゴシックBBB
見出ゴシック
ゴシックMB(だいたいBoldが使われます)
あたりです。
他にも代表的なフォントは
新ゴシック
ロダン
などありますが、上のゴシックフォントで作っておくと、
ベーシックなデザインとして間違いないです。最近では
A1ゴシック
筑紫ゴシック
遊ゴシック
等もよく使うようになりましたが、まずは上記の中ゴシック、見出ゴシック、ゴシックMBをマスターするのが良いと思います。
Indesignならではのテキストフレーム設定を使用して、簡単に文字組を作成します。
本文を選択した状態で、「オブジェクト」→「テキストフレーム設定」でパネルをだします。
今回はA4サイズなので、1段にすると1行あたりの文字数が多くなり過ぎてしまいます。
こちらの画像を見てみてください。
こうしてみると、2-3段あたりが読みやすいです。
文字が大きければ1段でもよいのですが、20-30文字程度が1行あたりに理想的な文字数、とされています。
今回は3段組みで、このようなレイアウトにしました。
大きく余白を開けているのは写真が入るスペースを作っているためです。
日本語の組版では伝統的には「級(Q)」を使います。
これは1Qが0.25mmなので、4Qで1mm、8Qで2mm、とサイズ換算がしやすい、というメリットがあります。
同様に行間についても「歯(H)」という単位があり、これも1H0.25mmになります。
最近では「ポイント(pt)」でクライアントから指定がくる場合もありますが、
こちらは1インチ1ポイントの単位なので、メートル法がメインの日本語環境では少し混乱してしまいます。
しかし、QもHもこれからなくなると思いますので、自分の中で何ptがこのくらいの文字サイズ、
10ptの文字なら16ptの行送りが読みやすい、くらいの体感を作っておくことが大切だと思います。
私はQとHで育ってしまったので、なかなかptでの文字サイズがピンときません、、、
先ほど作成した文字組を調整して、画像を入れます。
3枚あるので、メリハリをつけるために1枚を大きくし、2枚を同等に扱います。
またタイトルはまだデザイン前ですが、なんとなくこのくらいの大きさになるかな、
という目安を作っています。
まずは話者の文字色を変更したり、太く強調することで読みやすくしてあげます。
サブタイトルやショルダーもデザインを変更します。
特に英語になっている『Spcial Feature』は一番デザインした方が良い箇所になります。
タイトルももっと強くしたほうがよいので、太く、少し大きくしました。
Interviewのフォントを欧文書体に変更もしています。
タイトルは必ず文字詰めします。
本当はリードも、本文もしろと言われて育ちましたが、
現実にそこまでする時間もありませんし、
丁寧に文字詰めしたところで、編集者から全差し替えや、大量の文字修正が入るため、
あまり生産性がありません。
そのため私はタイトルとリード、目立つ見出しくらいのみ、文字詰めをしています。
これで1案、出来上がりとして問題ないと思います。
ここからは別案を作ります。
もっと装飾的なデザインにしてみます。
一番大きな影響を与える、写真部分を変更します。
左下の写真2枚を断ち落としをやめ、背景に色を入れました。
次に色を変更しました。
Indesignではスウォッチ管理が優れており、
スウォッチ上の色を使用ている限りは、そのスウォッチを変更しただけで全ての色が変更されます。
そのため色違いバージョンがかなり作成しやすいです。
このように濃度が違っていても、スウォッチを変更すれば色が変わります。
最後に、右上の写真の断ち落としが少し悪目立ちしていたので、
これを上の罫線の箇所でトリミングしました、
これで完成です。
いかがでしたでしょうか。
これで作業時間は60分程度です。
この文字量をillustratorで作業すると、
高性能なPCを使っていても、少し移動したりするだけで固まりがちですが、
InDesignであればスイスイ動かせるので、是非実際に作ってみてください。
ブログ・動画への公開が問題ないのであれば、サンプル用としてチラシの原稿等をお送りください!
本記事のようにデザインの手順を説明しながら、無償で作成させていただきます。
仕上がったデータはそのまま印刷用としてお渡しすることも可能です。
(あくまで説明用なので、作成までお時間がかかることがございます。また、納品後に修正や追加制作は別途費用が発生いたします)